―高尾ぶどうのはなし―
《稲城といえばぶどう》
稲城市では数種類のぶどうが生産されていて特産品になっていますが、代表的なのはやはり『高尾ぶどう』です。粒が濃い紫色のラグビーボール型をしているのが特徴で、種なしで皮ごと食べれて香りも上品で甘くてジューシーでとっても美味しいです。毎年早く出回らないかと楽しみにしているファンも多いのですがなんといっても私こそがファン代表と言っても過言ではないでしょうっ!!
《稲城なのになぜ高尾?》
糖度が高く大粒でぶどうの王様といわれるぶどう界最高峰の巨峰をさらに
東京農業試験場で改良を重ねて完成した『高尾ぶどう』。東京産まれの『高尾ぶどう』は1956年(昭和31年)に東京都立川市の農業試験場で産まれ、昔からこの辺りで親しまれている高尾山にちなんで『高尾』と名付けられました。
したたる瑞々しさの中に程よい酸味と強い甘みを感じるこれぞ『ザ!ぶどう』といえる逸品です。高尾ぶどうは種が無く、皮も薄めで渋みも弱い方なので丸ごと食べることもできます。実はぶどうの皮には色々と健康に役立つ栄養成分が入っているので、手を汚さずにすぐ食べれるなんてぶどう好きな人にはたまらない利点のある高尾ぶどうですが、病気に弱く房作りの難しさは群を抜きます。そのため現在の日本ではとても生産者が少なく超希少品種なのです。稲城ではこの非常に難しい品種のぶどうが農家の方々の手により代々大切に育てられております。
お話を聞いていると近頃の異常気象で色づき方が今までとまったく違ったり、ぶどうの病気に悩ませれる年があったり、収穫の直前で台風直撃なんて年もあったり環境や気候変動に対応しながらつくるのはとても大変なことです。希少品種で素晴らしいぶどうなのですが、市場にはほとんど出回りません。なので稲城の路面店で見かけた時は特産品の「高尾ぶどう」は是非ともご賞味いただきたい逸品なのです。
《高尾ぶどうのお菓子をつくりたい》
稲城の農家さんたちに大切に育てられた美味しい『高尾ぶどう』を
ホイップでは年間楽しみたくて干しぶどうにしていろんなお菓子にしています。
《干しぶどう作りの苦労話をだらだら話したい・・・》
「どうせ作るなら美味しいものを」と研究を重ねる干しぶどう作り。
干しぶどうを作るには、乾燥状態とある程度の日照時間を必要としますが、ぶどうの収穫期の関東地方では残暑で湿度も高くなかなか質の良い干しぶどうは出来ませんでした。皮のついたぶどうは乾燥させるのに時間がかかり、ほとんどの場合ダメになってしまいました。なんかアルコール臭くなるんですよね…皮をむいたぶどうでしたらなんとか出来たもののべたべたした表面に砂埃や虫の死骸などがくっついており、食べてはおいしいのですが人様におすすめ出来るものではありませんでした。失敗と試行錯誤を繰り返し、
「菓子屋で使うこの窯で干しぶどうが作れないものか」という考えにいきついたのです。
窯を使って干せば強い乾燥状態と殺菌効果も得られるので、衛生的で安心して食べられる干しぶどうが作れます皮ごと食べられるので、抗酸化作用のあるポリフェノールや水分を排出してくれるカリウムの他、鉄分、食物繊維も豊富にとれます。
(ぶどうの栄養成分についてはまた後ほど…)
干しぶどうを作っていると焦げやすい事に気づきました。焦げるというと高い温度を想像しますがちがうんです。くだものに含まれる果糖はメイラード反応しやすい糖で果糖そのものを棚に置いておくだけで茶色くなって味も変わってきます。これに気づいた時いろいろつながりました。傷んでいる訳ではないので食べても問題ないのですが市販のレーズンもどうも褐変臭(焦げたにおい)が気になっていました。特に果糖の多いぶどうはメイラード化しやすいため仕方がないそうです。そこでホイップでは高尾ぶどうが元々もっている香りを残すために、ゆっく~りと時間をかけてメイラード化しずらい温度を保ちながら、置く場所や湿度のかかり方に気を付けてムラを無くし丁寧に干していきます。
なかなか手間と時間がかかる作業ですが時間が経つごとに味が濃くなり甘さを増していくぶどうを見ていると楽しくて、美味しい干しぶどうが出来ると本当に嬉しくなります♪♡
高尾ぶどうは香りが強く、種も無くて皮ごと食べられるので、干しぶどうにしても
とても美味しい大粒の干しぶどうになります。栽培が難しいことで知られる高尾ぶ
どうは、粒の大きさがまばらだったり色にばらつきがある房が出来てしまいます。
食べてみると色が黒いほど甘くて香りも強く、赤味があると酸味が強くちょっと渋いです。もっと色の薄い場合は酸味と渋みが口に残ります。
しかしこれが干しぶどうにしてみると、水分が抜けて味が凝縮されるので、黒い粒のものはただでさえ甘かったぶどうがめっちゃ甘さが強くなり、赤みのあるぶどうは酸味と甘味のバランスが良くなって美味しく食べられます。そして色の薄いぶどうはというと、酸味と渋みはあるものの、甘さも増しぶどうらしい香りを持った干しぶどうに仕上がり、黒いものとはまた違った味わいがあります。
生食用に高い完成度で仕上げられた採れたての高尾ぶどうはとても魅力的ですが、規格外のぶどうでもホイップで丁寧に干し上げた完成度の高い「高尾ぶどうの干しぶどう」は生食用とはまた違った魅力を持っていると確信しております。「毎回どれも同じ味」というよりは少しのばらつきがあったほうが次の一口が楽しみになってついつい手が伸びてしまいます。
稲城の農家の方々が一年間手間をかけて一生懸命育ててきたこの高尾ぶどうを菓子屋の窯で干した「窯干しぶどう」は窯の中で稲城の大地の恵みとたっぷりの愛情がぎゅぎゅっと凝縮された甘ーい干しぶどうです。
干しぶどうもたくさんの人に味わってもらいたいな~なんて思いながら作っています。
《ぶどうのうれしい栄養》
*身体をサビから守る「ポリフェノール」
ぶどうの皮には、ポリフェノールの一種である『レスベラトロール』が含まれています。レスベラトロールには強力な抗酸化作用があり、細胞の酸化を防いで肌の弾力を改善し、美肌効果があるとして、特に注目されています。またビタミンCも豊富です。ポリフェノールは実の部分にも含まれることがわかっていますが夏の紫外線でダメージを受けた肌には、皮ごと食べるのがおすすめです。
*むくみ解消に「カリウム」
カリウムはむくみ解消に役立ちます。カリウムには余分なナトリウムを排出する働きがあるため、ナトリウムの摂りすぎが原因となるむくみをすっきりさせてくれます。
また、高血圧の予防効果も期待されているなど、カリウムは不足することなく摂りたい栄養素です。
*便秘対策に「食物繊維」
食物繊維は便の材料となるほか、腸内で善玉菌が増えるのを助けてくれるため、便秘対策に欠かせません。
ほかにも、食物繊維は血糖値の急激な上昇を抑えたりコレステロール値を下げたりと、健康づくりにも役立ちます。
*目や皮膚の健康づくりに「β-カロテン」
β-カロテンは体内でビタミンAとして働き、目や皮膚を正常に保ってくれる働きがあります。不足すると、粘膜の乾燥や免疫機能低下に関わることもわかっています。
いろいろな栄養を兼ね備えたぶどうをますます食べたくなっちゃいますね。
お子様やお年寄りには窒息のリスクを避けるため、丸ごとではなく4等分にするなどしてあげた方がいいそうです。
By消費者庁HP